製造業M&Aの事例や動向を紹介!売却相場やメリット・デメリットについても解説
製造業M&Aまとめ
  • 製造業M&Aは、大企業による中小企業の買収といった事例が多い
  • その背景には自社製品強化や技術の獲得といった買い手の目的がある
  • 売り手企業のM&Aの目的は後継者不足の解消や事業売却による利益であるが、この目的を達成するためにはM&A仲介のプロの手助けが必要不可欠
  • そのため製造業のM&Aの際にはM&A仲介会社を利用することがおすすめ

なお、M&A仲介サービスを提供している仲介会社は複数存在し、得意とする分野・業界も会社によって異なります。

M&Aが成功するかどうかは仲介会社によって大きく左右されるため、複数の仲介会社で見積もりを取り、比較・検討することが重要です。

忙しく複数の仲介会社で見積もりを取る余裕がない場合は、M&A仲介会社の一括見積もりサービスの利用をおすすめします。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

製造業はその会社の技術力にフォーカスして、譲受企業とマッチングすることになるため、技術を理解するコンサルタントでなければ譲受企業への提案活動・マッチングもうまくいきません。製造業を経験したことのあるアドバイザーを有するM&A支援機関の方がマッチングが円滑に進むでしょう。

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製造業M&Aの概要や特徴を解説

以下では製造業の会社のM&Aについて、概要や特徴を説明していきます。

製造業関連の会社を売りたい人や製造業の事業を始めたいと考えている人にとって、M&Aは選択肢の一つです。本記事を読むことで、製造業M&Aについての基礎知識が得られます。

製造業の意味・定義は?

製造業の種類

製造業とは、原材料を加工することにより、製品を生産する産業のことを指します。扱う製品の種類は多種多様です。

総務省の分類(※)によると、製造業は扱う製品の分野により細かく分類されます。製造業に含まれる業種の例を以下に挙げます。

  • 食料品製造業
  • 繊維工業
  • 電気機械器具製造業
  • 輸送用機械器具製造業 など

上記のように、製造業に含まれる業種は幅広いため、一口に製造業と言っても会社の形態や規模は様々です。

(※出典:総務省 大分類E-製造業 総説).

製造業M&Aの特徴とは?

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の頭文字をとった略称です。和訳すると「合併と買収」という意味になります。

M&Aは会社の売買や合併を指す言葉です。M&Aによってある企業が大企業の傘下に入ったり、また複数の企業が1つの法人として再構成されることがあります。

製造業界のM&Aには、大企業による中小企業の買収が多いという特徴があります。製造業のM&Aは、事業の効率化、事業継承など様々な目的を持って行われます。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

日本という国柄、製造業は日本の経済を大きく支える業種です。また、外注も頻繁に行うため、新たな製品やプロダクトの発生にはM&Aによる工場の内製化、技術の獲得は検討事項には必ずあるでしょう。

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製造業M&Aの売却価格の相場

製造業界の中小企業の場合、M&Aの売却価格の相場は、おおよそ資産額に営業利益の数年分を足した金額です。

しかし実際の売却価格は、業種、技術力の稀少さ、高さなどを考慮した上で、交渉により決まるため、場合により大きく異なる場合があります。

実際にM&Aが行われる際には企業価値算定が厳密に行われ、その額をベースとした交渉がなされます。

自分の会社の売却価格を知りたい場合は、M&A仲介会社に相談し、見積もりを出してもらうことをおすすめします。

製造業M&Aの成約事例を紹介

譲渡企業 有限会社森鉄工業 吹田鉄工株式会社 株式会社エイゼンコーポレーション 株式会社たから抜型工業 STX Precision Corporation Sdn. Bhd.
エリア 北海道 兵庫県 群馬県 富山県 マレーシア
売上高 約2.1億円 約2.5億円 約9.8億円 約3億円 約20億円
譲受企業 株式会社エヌ・エス・ピー 株式会社坂海工業所 株式会社イノベックス 大創株式会社 株式会社STG
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製造業の課題点とM&Aの動向を解説

以下では、近年の製造業界が抱える課題と、それに伴うM&Aの動向について解説します。あなたの会社が抱えている課題点と同じものがあれば、解決策を見つけることができる可能性があります。

製造業の課題点とM&Aの動向

製造業が抱えている課題点

製造業界が抱える課題点

製造業界が抱える課題点には以下のものがあります。

  • 人材の高齢化
  • 経営者の後継者不足
  • デジタル化の遅れ

製造業者の経営者の高齢化や後継者不足により、事業が続けられなくなってしまう場合があるでしょう。

また、新たな技術を導入する余裕がなくデジタル化が進まないことにより、業務効率の向上が遅れてしまう場合もあるでしょう。

これらの課題点をM&Aにより解決できる場合があります。M&Aによって外部から人材を登用する、他社の技術を取り入れるなどの解決策があるでしょう。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

譲渡企業側も、譲受企業の技術力や販路を獲得することができます。また、製造業は一度取引を行うと継続することが多いためバリューチェーンをグループ会社で作ることができれば、経営も安定的になります。

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製造業M&Aの動向

製造業M&Aの動向として、以下のものが挙げられます

  • 大手メーカーによる中小メーカーの買収が多い
  • 製品強化や事業ポートフォリオの改善を試みるM&Aも多い
  • 技術革新が目的になる場合もある

以下では、それぞれの動向について詳しく解説します。製造業M&Aの動向を知ることで、自分の会社がM&Aをするためのタイミングを図ることができる可能性があります。

大手メーカーによる中小メーカーの買収・合併が多い

内製化の仕組み

製造業M&Aの動向として、大手メーカーによる中小メーカーの買収・合併が多いことが挙げられます。

例えば大手企業が、内製化を目的として、部品製造の中小企業を買収するといった事例が見られます。

内製化とは、業務を委託することなく社内で完結させることを指します。内製化することで、業務の効率化や、技術力の向上を目指すことが可能です。

また、買収される側の中小企業側には、大手メーカーの傘下に入ることによって経営の安定化を目指すなどといった目的があります。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

製造業と一括りに言っても、作っているモノや内容は千差万別です。しかし「M&A 製造業 事例」と調べれば数多くの成約事例が出てくるので、似ている状況の会社を見つけることも容易いでしょう。

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製品強化や事業ポートフォリオの改善を試みるM&Aも多い

製造業M&Aの動向として、製品強化や事業ポートフォリオの改善を試みるM&Aも多いことが挙げられます。

核となっている事業以外を売却することで、リソースを集中化させることを目指す企業が多いです。また、本業となっている事業とシナジーを見込める事業を買収することにより、製品強化を目指す事例もあります。

例えば、IT化を促進するためにシステム開発に特化した会社を買収するといった動きが見られます。短期間でコストを抑えつつ、業務の効率化を目指すことが可能です。

技術革新が目的になる場合もある

製造業M&Aの動向として、技術革新が目的になる場合もあることが挙げられます。

例えば、工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を行いたいといった意図があります。工場DXにより、業務をデジタル化して生産性を上げることが可能です。製造ラインへのロボットの導入などが例として挙げられます。

M&Aにより、技術革新を行う技術を持った人材、資金、設備などを手にいれることが可能です。

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製造業M&Aにおけるメリット・デメリット

製造業M&Aにおけるメリット・デメリット

メリット

後継者・人材不足の問題が解決できる

製造業M&Aにおけるメリットとして、後継者・人材不足の問題が解決できることが挙げられます。

経営者の後継が身近で見つからない場合、M&Aによって後継者を探すことが可能です。社内に後継者となりうる人材がいない際、M&Aによってこの問題が解決できる可能性があるでしょう。

これにより、事業を存続させられるため、従業員の雇用を引き続き守ることも可能になります。解雇する必要がなくなるため、従業員の生活を心配することなく引退することもできるでしょう。

また、買い手企業との連携により、人材不足を解消できる可能性もあります。

しかし従業員の契約継続に関しては、M&Aの際に交渉し、契約に織り込む必要が出てきます。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

工場自体の売上は好調なのに、人材不足が年々深刻化してM&Aを選択する企業も多くなってきました。
人材不足を先送りにすると、従業員の平均年齢もかなり上がってしまうので早めの対応が良いでしょう

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経営者の時間を確保できる

経営者自身の仕事以外の時間を確保できることが、製造業M&Aにおけるメリットとして挙げられます。

事業を引き継ぎ、退職できれば自由な時間を過ごすことができるようになります。自由な時間を、のんびりと過ごしたり、旅行や趣味に費やしたりすることが可能です。また、次なる事業を始める経営者の方もいます。

しかし、事業継承後すぐに退職できないケースがあるため、注意が必要です。例えば引き継ぎのため、一定期間社員として働くことを求められるケースがあります。

退職したいと考えている場合、引き継ぎの期間を考慮にいれ、M&Aに早めに取り掛かることをおすすめします。

事業売却で利益を得られる

製造業M&Aにおけるメリットとして、事業売却で利益を得られることが挙げられます。

得た利益は、自身の退職金としたり、新しい事業の資金としたりすることができます。また資金繰りが苦しい会社が、一部事業を売却することで改善を目指すケースがあります。

M&Aの際の売却額の相場は、資産に営業利益の数年分を足したものと言われています。数年分の利益をまとめて得られるのは、メリットとして大きいと言えます。

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大手企業の傘下に入れる場合がある

大手企業の傘下に入れる場合があることは、M&Aのメリットとなり得る点です。

大手企業の傘下に入ることで、以下のようなメリットが得られる場合があるでしょう。

  • 資金面や設備面などの援助を受けられる
  • 大手のネームバリューにより、会社の信用力が高まる
  • 取引先や販路が広がる
  • グループ内のシナジーによる生産性の向上 など

大手企業は様々な業種の企業を傘下に置いている場合があるため、中小企業一社のみでは達成の難しい業務の効率化の手段を取る事ができる可能性があります。

自社ノウハウを有効活用できる場合がある

製造業M&Aにおけるメリットとして、自社ノウハウを有効活用できる場合があることが挙げられます。

日本の製造系中小企業は、高い技術力を有している場合が多いです。何らかの理由でそうした企業が廃業となると、技術が継承されず、社会にとっての損失となる場合もあります。

M&Aによる事業継承により、蓄積されてきた技術やノウハウを生かすことが可能です。

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デメリット

製造業M&Aにおけるデメリットとして、以下のものが挙げられます。

  • 希望価格・条件・タイミングで売れない可能性がある
  • 従業員の離職、取引先との関係悪化が生じる可能性がある
  • M&A手続きや組織統合のための、手間やストレスが生じる可能性がある
  • 退職後の喪失感を感じる可能性がある など

例えば、希望価格を高くし過ぎると、交渉がスムーズにいかない可能性があります。そのため適切な売却額を知りたい場合は、仲介会社に見積もりを依頼することをおすすめします。

加えて、企業の体制が変わってしまうために、従業員への不安感や、取引先への不信感を与えてしまう場合があります。

適切なタイミングでの、M&Aに関する発表を行うことが大切です。

製造業M&Aで売却・買収する目的

売り手側

製造業M&Aの売り手側の目的には、以下のものが挙げられます。

  • 事業を継承すること
  • 従業員の雇用を守ること
  • 利益を得ること
  • 経営を安定させること
  • 経営者保証から解放されること など

近年とりわけ、後継者を見つけることを目的としたM&Aが増えています。事業の存続は従業員にとっても取引先にとっても重要です。後継者が見つからない場合は、M&Aを検討してみると良いでしょう。

またM&Aにより、経営者が債務の保証人から解放されるケースがあります。会社が倒産した際のリスクを避ける事ができれば、安心感が得られます。

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買い手側

製造業M&Aの売り手側の目的には、以下のものが挙げられます。

  • コストやリスクを抑えて新規事業を始めること
  • 技術やノウハウを入手すること
  • 人材の確保
  • 内製化を進めること
  • 設備や施設を入手すること など

M&Aによってすでに軌道に乗っている事業を買収することで、新規事業が失敗するリスクを抑えたり、既存事業のさらなる強化を図ったりすることが可能となります。

また、人材を得られる点もメリットとなります。知識や技術を持つ職人を一から育てるためには時間やコストが必要です。M&Aによって、従業員との雇用契約を継続する事ができれば、時間やコストを抑えて人材が確保できます。

製造業M&Aを行う際の仲介会社の手数料はいくら?

以下では、M&Aベストパートナーズを例に、製造業M&Aの仲介を依頼した際の手数料について解説します。

相談料 無料
着手金 無料
中間報酬 250万円or成功報酬の10%
成功報酬(レーマン方式) 売買金額の1~5%

上記は一例であり、手数料は仲介会社によって異なるため注意が必要です。

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製造業M&Aをスムーズに進めるためのポイント

製造業M&Aに詳しい仲介会社を利用する

製造業M&Aをスムーズに進めるためのポイントとして、製造業M&Aに詳しい仲介会社を利用することが挙げられます。

M&A仲介会社は、それぞれ得意分野を持つ場合があります。製造業界への知識が豊富な仲介会社を選ぶことで、適切なサポートを受けられる確率が高まります。

仲介会社の公式サイトでは、サポート実績を公開している場合があります。依頼前に確認し、製造業M&Aの実績が豊富かどうか確認しておくことをおすすめします。

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企業の価値をあらかじめ調査する

製造業M&Aをスムーズに進めるためのポイントとして、自社企業の価値をあらかじめ調査することが挙げられます。

企業の価値は、企業の売却額の交渉の際にベースとなるものです。企業価値を事前に把握しておくことで、交渉をスムーズに進めやすくなります。

企業価値の算定には様々な方式があるため、買い手側と売り手側で意見が分かれてしまう可能性があります。客観的に適切な企業価値を調査しておくことができれば、双方納得のいくM&Aが行える可能性を上げることができます。

M&Aの目的を明確に決める

M&Aの目的を明確に決めることも製造業M&Aをスムーズに進めるためのポイントです。

M&Aを行う会社にはそれぞれ様々な目的があります。目的を明確にしておくことで、重視している点はどこかはっきりと交渉相手や仲介者に伝えることができます。

例えば、従業員の雇用を守りたいという目的があるとします。その場合、買い手の条件として雇用継続を約束してくれることを挙げた上で、マッチングを行った方が良いでしょう。

このように、目的を先にはっきりとさせておくことで、マッチングや交渉の際の二度手間を防ぐことが可能になります。

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製造業M&Aの注意点

製造業M&Aを行う際の注意点として、以下のものが挙げられます。

  • M&Aに関する情報を漏らさない
  • 交渉は誠実さをもって行う
  • 見積もりは複数の仲介会社に依頼する

M&Aに関しての情報が漏れてしまうと、従業員や取引先が不安や不信感を持ってしまう可能性があります。上場企業である場合には、M&Aの噂が株価に影響を与え、結果的に売却価格が下がってしまう可能性も考えられます。

そのため、M&Aに関する情報は最低限の人にのみ伝えるようにし、発表は適切なタイミングを図って行う必要があります。

また、M&Aの交渉の際には誠実さが鍵となります。負債に関する情報など、不利になり得ると感じる情報も包み隠さず交渉相手や仲介会社に伝えておくことで、信頼関係を深めることができます。

逆に、嘘をついたり、伝えるべき情報を隠していたことが後から発覚した場合、信頼関係が損なわれ、契約が白紙に戻ってしまうリスクがあります。

更なる注意点として、見積もりは複数の仲介会社に依頼することをおすすめします。見積額を比べることで、できる限り高く自分の会社を売ることができる可能性があります。

見積もりを複数の会社に依頼したい場合、相見積もりを行えるサイトの利用が便利です。まとめて依頼を出せるため、情報の入力などの手間を減らすことができます。

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【2024年最新】製造業界のM&Aの事例を紹介

ここでは、製造業界のM&Aの最新事例を紹介していきます。

2022年、ニデックは工作機械事業を展開するOKK株式会社と資本提携契約を締結しました。

ニデックは、工作機械事業で横中ぐりフライス盤や門形五面加工機などの大型機械の生産を手掛けています。

このM&Aにより、ニデックは製造拠点の拡大から生産能力の向上や両社の技術を生かした新製品の開発など事業のさらなる拡大を目指しています。

出典:M&A総合研究所

この記事の監修者
この記事の監修者
山本正樹
M&Aアドバイザー
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プロフィール
新卒で日本M&Aセンターに入社。そこから同業のベンチャーに転職して業界に4年間在籍。譲渡企業側の相談を多数経験。業種は拘らずに金融機関や士業等からの紹介が中心。
監修者の身元
専門ジャンル
M&A
この記事を書いた人
この記事を書いた人
「M&A相談窓口」ライティング部門