- 一般的なM&Aでは、営業利益の2倍~5倍程度で売却できるケースが多い
- しかし、売却するタイミングや算出方法によって売却価格は大きく変化する
- 算出の際には収益や顧客、持っている技術、将来性が影響する
- 企業価値を高めるには、自社に合ったM&A仲介業者を選ぶことが大切
※※1社のみの検討は危険!※※
なお、納得のいくM&Aを実現するためには、自社に合った仲介会社を選ぶことが重要です。
各仲介会社ごとに、得意とする業界や規模感は全く異なっており、自社に合っていない仲介会社を利用してしまうと、理想とする金額で売却できなかったり、M&A自体が成立しないといった状況になりかねません。
実際に仲介を依頼する会社次第で、売却金額が2倍以上変わるようなケースもあります。
そのため、安易に1社に依頼するのを決めるのではなく、面倒でも複数社の話を聞いてみることが大切です。
売り手オーナーとM&A仲介会社のマッチングサイトである「M&A相談窓口」では、専門のコンサルタントが中立な目線で、自社に合ったM&A仲介会社の無料紹介が可能です。
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M&Aでは会社の営業利益の何倍で売却できる?
一般的なM&Aでは、譲渡側企業は会社の営業利益の2倍~5倍程度で売却できるケースが多いです。
上記金額に純資産額もプラスされるため、実際には営業利益の5倍以上の価格で売れることもあるでしょう。
このセクションでは以下の流れで平均売却額や、営業利益の何倍で売れるかを解説していきます。
【売却方法別】M&Aで営業利益の何倍で売れるか平均額まとめ
会社売却の場合
会社売却の場合は、年間営業利益の3倍~5倍程度の価格で売却できるケースが一般的です。
また、売却の際は純資産も考慮されるため、さらに大きな金額になるケースもあるでしょう。
年間の営業利益が5億円かつ、純資産が10億円ある企業の場合は、5億円×3~5の計算となるため、25億円~35億円で売却できる可能性があります。
しかし、上記の計算方法はあくまでも一例です。
実際のM&Aではさまざまな要素が組み合わさり、複雑な計算が行われるため、上記のようなシンプルな計算になるケースは少ないです。
会社売却を検討している場合は、まずはM&A仲介会社に相談し、正確な企業価値を評価してもらう必要があります。
事業売却の場合
事業売却の場合は、その事業が生み出している年間売り上げの2~5倍程度で売却できる可能性があります。
会社売却同様、純資産額も含まれるため、実際には年間売上以上の価値になると言えるでしょう。
しかし、事業売却も同様、上記の金額はあくまでも目安です。
M&Aでは相手企業との交渉や事業の将来性も加味されるため、上記金額から大きく変動する場合もあります。
また、事業売却においては売却するタイミングも重要になります。事業が好調な時期に売却することで、より大きな金額で売却できる可能性が高いです。
事業を売却する要因としては、選択と集中もあります。既存の本事業よりも利益率が低ければ、例え高収益が出ていても売却を一度検討するのはありでしょう。過去にSonyの事業だったVAIOも選択と集中による事業譲渡です。
【業種別】M&Aで営業利益の何倍で売れるか目安を紹介
M&Aにおける売却益の目安は業界や企業によって異なるため、一概には言えません。
あくまでも目安になりますが、業界ごとに営業利益の何倍で売れるかの目安は以下のとおりです。
業界 | 売却額の目安(年間営業利益) |
---|---|
医療法人M&A | 3~4倍 |
薬局M&A | 3~4倍 |
製造業M&A | 3~4倍 |
建設M&A | 1~2倍 |
飲食店M&A | 1~2倍 |
アパレル業M&A | 0~1倍 |
詳細な売却額を知りたい場合は、一括見積もりを利用してみると良いでしょう。
M&Aで利益の何倍で売れるか算出する方法は?
M&Aにおける企業価値とは、その企業が持っている資産やノウハウ、将来性などを加味して評価されます。
M&Aにおいて企業価値を評価する方法は主に以下の3つです。
それぞれを詳しく解説していきます。
インカムアプローチ
インカムアプローチとは、主に企業が持つ将来性や売上の予測に基づいて評価する方法です。
主に使用される計算方法として、将来的な資産の流れ(キャッシュフロー)を基に算出するDCF法、株価を評価する配当還元法などがあります。
インカムアプローチを使用するメリットは、将来性が重視される点です。
そのため、現在の利益や業績が芳しくない企業や事業でも、将来性があると判断されれば評価額が高まる場合があります。
また、譲受側にとっては該当する市場の影響を受けづらい算出方法である点もメリットです。
一方、インカムアプローチは相手先が納得しづらい評価方法である点がデメリットと言えるでしょう。
将来性の予測は経営者の主観的なものになるため、客観的な視点を介入させることが難しい傾向にあります。
場合によっては双方の評価が異なってしまい、交渉が難航する場合があるため注意が必要です。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、競合他社の株価や業績などと比較し、評価する手法です。
主に評価される企業と似た上場企業と比較するマルチプル法、直近の株価の平均を割り出し比較する市場株価法が使われます。
マーケットアプローチのメリットとして挙げられるのは、客観的な視点が用いられる点です。
主観的な視点が用いられるインカムアプローチとは異なり、市場や他社のデータと比較するため、定量的な評価が行えるでしょう。
また、データが揃っている場合は、比較的スムーズに評価が行える点も特徴です。
上場会社の株価を基に、バリュエーションを行うためほとんどの業界がこの方法で評価することができます。
一方で、定量化できない要素は加味しづらい点がデメリットと言えます。
コストアプローチ
コストアプローチは、評価対象の企業の純資産を重視し、企業価値を算定する方法です。
計算方法は純資産を基に株式価値を割り出す簿価純資産法、解散する会社に対しては清算価値法などが使用されます。
コストアプローチのメリットとしては、マーケットアプローチと同様に客観的に評価できる点が挙げられます。
資産を基に算定されるため、M&Aの知識がない経営者でも理解しやすい点が特徴です。
一方、将来性が加味されない点がデメリットと言えます。
コストアプローチでは将来生み出す可能性のある利益は評価されません。
そのため、双方が不利益にならないよう、慎重に評価していくことが重要になります。
M&Aで売却価格を算出する際に考慮される7つの要素
収益はあるか
M&Aで売却価格を算出する際には、該当企業に「収益があるか」が考慮されます。
現状高い収益を上げている企業が高く評価されるのはもちろんのこと、収益性の高さはその会社の将来性を評価する際にも重要になるでしょう。
現状の収益以外にも、将来的に収益を上げられる体制が整っているかも評価されます。
有用な取引先や顧客がいるか
M&Aを行う際には有用な取引先の有無や、その関係性も評価されます。
譲渡側の企業が有用な取引先を多く持っていて、関係が継続される場合、譲受側企業は新規の取引先を探す手間をかける必要がありません。
取引先との関係性は数値としてデータ化するのが難しい要素ですが、譲受側企業にアピールできるポイントにもなります。
また、取引先と同様に安定した顧客がいることも重要です。安定した顧客を持っていると、将来的な収益が見込めるため、高く評価されやすいと言えるでしょう。
スキルを持った従業員が在籍しているか
M&Aでは従業員に関しても、会社が保有する資産として評価されます。
従業員は一朝一夕で教育できるものではありません。スキルのある従業員を育て上げるには、膨大な時間が必要になります。
そのため、長い時間業務に携わり、さまざまなスキルや経験を持った従業員は、会社にとって重要な資産のひとつと言えるでしょう。
一方、条件によってはM&Aに反感を抱く従業員が生まれてしまう可能性があるため、丁寧に状況を説明する必要があります。
他社よりも優れた技術があるか
M&Aにおいては企業の持つ技術やノウハウも評価される要素のひとつです。
従業員・取引先と同様に、持っている技術は定量化することができません。
そのため、競合他社と比較して、より優れた技術を持っていることが重要になります。
また、可視化できる部分では企業が持っている特許などの知的財産権も、評価の際に考慮されるでしょう。
しかし、特許や著作権などは会社の売却に伴い、権利者が利用できなくなる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。
安定した経営が行われているか
安定した経営が行われているかも、企業価値評価の対象になります。
M&Aでは赤字が続いてる会社はもちろん、黒字と赤字を繰り返すような安定した利益がない会社は高く評価されません。
安定した収益がある会社は、将来の利益も高く評価されやすい傾向にあるため、高い収益を安定して保つことが重要だと言えるでしょう。
安定化を図るためにも、効率的なビジネスモデルを確立させることが大切です。
会社や事業に将来性があるか
M&Aで企業価値評価を行う際は、将来で上げられる利益「のれん代」の算出が行われます。
のれんは企業が持つブランド力、保有している従業員、社会的な信頼性など、可視化できない価値を表現した言葉です。
そのため、実際には赤字の企業であっても、将来性が高く評価されればのれん代が上がる可能性があります。
のれん代の算出にはさまざまな計算方法がありますが、自社の強みをしっかり理解しアピールすることで、のれん代を引き上げられる場合もあるでしょう。
企業風土や経営者に問題がないか
上記したのれんと共通する部分ですが、経営者自身の人間性も重要視される場合があります。
譲受側企業には、経営者が築き上げてきた信用度や人間性に注目する企業も存在しています。買収した際に、譲渡企業が自社の風土や方向性と合うかどうかを判断するためです。
会社自体に利益があったとしても、信用できない経営者では成立が難しい場合もあります。
M&Aを行う際には、会社以外にも、経営者の人柄も評価されると考えておくと良いでしょう。
M&Aで企業価値が算出されるまでの流れ
M&Aにおいて、企業価値が算出されるまでの流れは以下のとおりです。
- M&Aの方針の決定
- M&A仲介会社との契約締結
- 売却額の決定
- 譲受側企業との交渉
- 最終の企業価値が決定
M&Aでは企業価値評価は譲渡側企業自身も行います。
タイミングとしては、仲介会社との契約後になることが多く、そこで算出された企業価値を基に交渉が行われます。
譲受側企業との評価に相違がある場合は、交渉自体が難航してしまう恐れもあるでしょう。
交渉がまとまらないと、M&Aの話が流れてしまうこともあるため、専門家を頼り綿密な計画を練ったうえで臨むことをおすすめします。
自社の企業価値を高める4つの方法
業務効率・収益性を向上させる
企業価値を高める方法として、収益性を向上させることが挙げられます。
企業価値評価において、会社の収益性は欠かすことができない要素のひとつです。そのため、業務の効率化を図り、収益性の向上に努めることが何よりも重要と言えます。
また、売上の向上はもちろんのこと、コストカットや従業員の教育、ブランド力の向上など、のれん代の引き上げに関わる部分の強化も必要になるでしょう。
そのため、M&Aで既存の取引先や従業員との関係が悪化しないよう、注意しておく必要があると言えます。
従業員の労働条件を見直す
従業員の労働意欲をアップさせることも、企業価値を高めることで重要な要素のひとつです。
先述したとおり、従業員は会社が持つ重要な資産です。従業員の待遇が悪いと、労働意欲も低下し、離職率の上昇に繋がってしまいます。
そのため、労働条件を見直し、経営者と従業員の信頼性の向上に努めることが大切です。
従業員の労働意欲が向上することで、スキルや経験が会社に蓄積されていくため、企業価値を高めることに繋がります。
不要な資産・不動産の整理を行う
不要になった資産や不動産の整理を行うことで、企業価値のアップに繋がる場合があるでしょう。
不必要な資産・不動産を保有していると、企業価値の低下に繋がります。
また、不動産の場合は固定資産税がかかるため、財政を圧迫してしまう恐れもあります。
そのため、資産がどのような利益を生み出しているのかを再確認し、不要なものは売却して、効率的に投資を行えるようにすることをおすすめします。
自身の企業に合った仲介会社を選ぶ
企業価値を上げるためには、M&A仲介会社の選択も大切です。
M&A仲介会社には得意分野がある場合があるため、自社の分野に不得意な仲介会社を選んでしまうことを避ける必要があります。
自社に合った仲介会社を選ぶことで、より良い条件で売却ができたり、的確な企業価値評価が行えるでしょう。
また、仲介に必要な報酬を比較検討し、コストを抑えてM&Aを行うことも重要です。
【2024年最新】利益の3倍で会社売却になった事例を紹介
株式会社エフコードは株式会社ラグナロクを買収しました。
株式会社ログリオの売上は1,740万円で、買収金額は4,250万円であるため、利益から約2.5倍の買収金額で会社売却を実現するに至りました。
株式会社エフコードは、IT活用した事業展開を進めていく方針です。