M&Aの売却価格の目安は?金額の決め方を紹介!
本記事のまとめ
  • M&Aの金額のおおまかな目安は「時価純資産額+営業利益×2~5年分」
  • しかし上記目安は企業の無形資産や将来の見込み利益によって増減するため、正確なM&Aの金額を算出することは難しい
  • 正確なM&Aの金額について算出するには、コストアプローチやインカムアプローチに従って専門的な計算をする必要がある
  • 自社のM&Aの金額を知りたいなら、M&A仲介会社に依頼することがおすすめ

なお、M&Aの仲介業者は多数存在しており、自社の業界に強い業者とそうでない業者が混在しています。

そのため、どの会社に依頼するのかでM&A成功や売却額に大きく影響しやすいことから、複数の会社で見積もりをとってみるのがおすすめです。

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M&Aにおける譲渡金額の目安は?相場はある?

一般的なM&Aでは、時価純資産額にのれんを足した額を譲渡金額の簡易的な目安として用いることが可能です。

のれんとは、営業権とも呼ばれることのある企業の無形資産の一種です。集客力や知名度など、その企業が利益を生み出す原動力となる物の総称をのれんと呼びます。

のれんの金額は、営業利益の2~5年分を代用して計算することができるでしょう。

しかし、M&Aの譲渡金額は、会社の業界や業種によって目安となる金額が変わります。また、個々の会社の業績や資産など状況によっても譲渡金額は異なります。

そのため、上記のM&Aの売却金額の計算方法はあくまで目安の一例である点に留意してください。

自分の会社の譲渡金額を具体的に知りたい場合、M&A仲介業者に見積もりを依頼することができます。M&A見積もりサイトを用い、一括見積もりを依頼することで、複数社の見積もりを比較検討することが可能です。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

この営業利益2~5年分の振れ幅はかなり広く、営業利益も一部修正を行いますのでそれによっても金額が異なります。
専門家の意見をもとに算定をするのが良いでしょう。

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M&Aの譲渡金額・価格に影響を与える要素とは?

M&Aの譲渡金額に影響を与える可能性のある要素として、以下のものが挙げられます。それぞれに関して解説していきます。

純資産

純資産額は、M&Aの譲渡価格に大きく影響する要素です。純資産とは、資産から負債を引いた残りの額である、返済義務のない企業が所有する資産のことです。

M&Aの譲渡金額を決める際には、大抵まず純資産額を参照し、算定のベースとして用いることになるでしょう。

ただし、簿価の純資産額をそのまま譲渡価格の計算に用いるとは限らない点に注意が必要です。純資産額を、時価に計算し直してから譲渡価格の計算を行う場合があるためです。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

時価純資産を算定する際には、簿価で見えていなかった簿外資産や含み益を計上するので簿価よりも株価は上がります。しかし、時価算定は簡易的に行うので、買収監査などで減額が少し入ることは念頭に置いた方が良いでしょう。

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無形資産

無形資産は、譲渡価格に影響を及ぼす要素です。無形資産として以下のものが挙げられます。

譲渡価格に影響を及ぼす無形資産

以下では、上記のそれぞれの要素について解説します。

従業員

M&Aの譲渡価格に影響を及ぼす無形資産の一つとして、従業員が挙げられます。とりわけ、経験のある人や資格を持つ人は貴重な人材として、譲渡価格にプラスの影響を及ぼすでしょう。

また、地域や業種によっては人手不足が企業にとっての悩みの種となる場合があります。そのため、人手を確保することを目的としてM&Aが行われるケースもあるでしょう。そのような場合には、従業員の人数が揃っていること自体に価値が生まれ、譲渡価格が上がる可能性も考えられます。

ただし、M&Aによって従業員が不安を感じ、人材の流出が起こってしまうケースもあります。こうした事態を防ぐため、従業員への丁寧な説明などの対策が必要です。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

M&A後も、従業員の処遇は原則変わりません。譲渡企業が上場会社の場合などは、上場会社の子会社になり従業員もローンが組みやすくなるなどの信用上のメリットがあります。

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顧客

M&Aの際に顧客を引き継ぐことができれば、譲渡価格が上がることを期待できます。顧客を引き継ぐことができれば、売り上げが安定する可能性が高まるためです。

例えば、新規事業に一から参入したい場合、顧客を見つけるために時間やコストが掛かります。M&Aによって顧客を引き継ぐことができれば、買い手企業側のコストダウンに繋がるでしょう。

こうした点から、顧客は大切な無形資産であり、譲渡価格に影響を与える可能性が高いと言えます。

市場シェア

市場シェアが高ければ、譲渡価格は上がると言えるでしょう。市場シェアとは、ある市場における自社の提供する商品やサービスの、売り上げや販売数において占める割合を指します。

市場シェアが高い場合、安定した売り上げが見込めるため、M&Aの譲渡価格上昇に繋がると言えるでしょう。

市場全体に対するシェア率はあまり高くないという場合でも、特定の客層に対する高い訴求力を持っているなどの強みを正しくアピールできれば、買い手側からの高評価に繋がる可能性があります。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

市場シェアを獲得できていれば、それだけ売上が安定しやすく認知度も維持しやすいでしょう。市場シェアが高ければ高いほど営業権に少し色はつきやすいです。

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技術力

技術力は、M&Aの譲渡価格に影響する要素です。技術力を獲得するために買い手側がM&Aを実施するケースがあるためです。

とりわけ、独自性の高い技術を有する場合には、より譲渡価格が上がる可能性があると言えるでしょう。

ただし場合によっては、属人的な要素が想定よりも低く評価されてしまうケースがあるため、注意が必要です。買い手側には、M&Aの前後に技術を持つ人材が流出してしまうなどのリスクがあるためです。

そのため、技術をマニュアル化して継承可能なものにするなど、属人的な要素を可能な限り排除する対策を取ることができます。そうすることで、技術を買い手企業に継承できる可能性が高まり、M&Aの際の高評価に繋がる可能性があるでしょう。

ブランド力

ブランド力がM&Aの際に譲渡価格に影響を及ぼす可能性があります。ブランド力とは、自社の商品やサービスの知名度や影響力などを指します。

ブランド力のある事業を持つ会社は、高く売れる可能性が高いと言えるでしょう。ブランド力が高い場合、売り上げが安定しやすいためです。

他企業と差別化できているブランドがある場合は更に評価が高い可能性があります。

山本正樹
山本正樹/M&Aアドバイザー【記事監修者】

ブランド力の数値化は、今も議論が絶えないところになります。M&Aの現場では、買手が買収金額を決定するので買手がどのように考えているかをベースに金額交渉することになります。

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将来獲得できる見込みの利益

将来獲得できる見込みの利益は、M&Aの際に譲渡価格に影響します。将来的に多くの利益が見込まれる場合、譲渡価格は高くなるでしょう。

将来的な利益を予測するためには、過去の利益額を参考にします。

しかし、将来に関する予測は難しいため、人によって意見が割れやすいポイントとなります。より客観的な予測を行なってもらいたい場合、M&Aの専門家に依頼することをおすすめします。

その他

その他、M&Aの譲渡価格に影響を及ぼす可能性がある要素として、以下のものが挙げられます。

  • 経営者の人柄
  • 社風 など

M&Aは、「会社同士の結婚」と呼ばれることもあることからわかるように、売り手側と買い手側双方の協力が欠かせない取引です。そのため、協力相手となる経営者の人柄は、買い手側が重視するポイントと言えます。信頼関係を築くことのできる相手とみなしてもらうことができれば、譲渡価格が上がる場合もあるでしょう。

また、M&A後に企業同士が協力して行くため、社風が合うことを重視する買い手もいるでしょう。

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M&Aの譲渡金額の目安を知る方法とは?算出方法を紹介

以下では、M&Aの際の譲渡価格の目安を算出する方法について解説します。

インカムアプローチ(DCF法)

M&Aの際に、譲渡価格の目安を算出する方法として、インカムアプローチと呼ばれる方法があります。インカムアプローチとは、その企業が将来獲得することが見込まれる収益に注目して企業評価を行う手法のことを指します。

インカムアプローチの代表的な手法として、DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)が挙げられます。DCF法とは、フリーキャッシュフローを現在の価値に計算しなおして譲渡価格を算出する方法を指します。

インカムアプローチは、事業や会社の将来性を反映した譲渡価格の算出が可能であるというメリットを持ちます。ただし、将来性に関する予想が難しいため、実施に専門的な知識を必要とする点や、結果にばらつきが出る可能性があるという点がデメリットと言えます。

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コストアプローチ

コストアプローチによって、M&Aの譲渡価格を算出する場合があります。コストアプローチとは、会社の持つ資産額に注目して企業価値を算出する手法です。

コストアプローチの代表的なものとして、以下が挙げられます。

コストアプローチ

以下で、それぞれについて解説します。

簿価純資産法

簿価純資産法は、会社の決算書に記されている資産から、負債を引くことで企業価値を計算する手法です。シンプルな計算であるため、客観性に優れているというメリットがあります。

しかし、将来的に見込まれる利益に関して考慮しないため、将来性が加味できない点がデメリットとなるでしょう。また、後述する時価純資産法と比較して、現在の企業価値と合致しない結果になってしまう可能性がある点もデメリットとなります。

簡易的にM&Aの譲渡金額の目安を算出する際には、用いることも可能です。

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時価純資産法

時価純資産法は、会社の持つ資産を時価額に計算し直してから、負債を差し引くことで企業価値を算出する方法です。例えば会社の所有する不動産を、取得価格ではなく、時価額で扱います。

簿価純資産法と比較して、より正しく現在の企業価値を表した数値を算出することが可能です。

ただし、簿価純資産法と同じく、企業の将来的な価値は算出された企業価値に影響を与えていない点がデメリットとなり得ます。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、評価対象の会社と類似する会社を参考として企業価値を算出する手法を指します。マーケットアプローチの代表的手法として、以下の2つが挙げられます。

マーケットアプローチ

以下では、それぞれに関して解説します。

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類似会社比較法

類似会社比較法とは、類似する会社を企業価値算出の基準として使用する手法です。多くの場合、上場企業の中から比較対象とする会社を選びます。

しかし全く同じ状況にある企業はないため、複数の上場企業を選出し、その平均値を基準値とする場合が多いです。

上場企業の株価といった、客観性の高い数値を基準として計算するため、納得感の得られやすい算出結果となることが期待できます。

ただし、会社の独自の技術など、唯一性のある部分を考慮に入れることが難しいため、使用には注意が必要です。

類似取引比較法

類似取引比較法とは、類似する会社が行なったM&Aの取引価格を参考に企業価値を算出する手法です。

実際に行われたM&A取引を参考とするため、客観性の高い数値が出ることを期待できます。

しかし、類似企業のM&A事例が少ない場合にはこの手法は利用しにくいと言えるでしょう。また、M&Aの理由や時期など、状況が異なる場合にはM&A相場が変わるケースもあります。

この手法を用いるためには、豊富なデータベースや知識が必要であると言えます。

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M&Aにおける譲渡金額を高くするポイント

複数のm&a業者で見積りを取る

複数のm&a業者で見積りを取ることで、譲渡金額を高くできる可能性があります。

見積もりを行う業者によって、算出結果が異なる可能性があるためです。理由として、手数料の違いや業者の業種・スキームなどの得手不得手がある点が挙げられます。

複数の仲介業者に相見積もりをすることで、高く見積もりをしてくれる業者を選ぶことができます。

複数のM&A業者に見積もりを依頼したい場合、一括見積もりサイトを利用することをおすすめします。情報を入力する手間を省いて、多くのM&A業者に見積もりを依頼できます。

複数の買い手と交渉を行う

複数の買い手と交渉を行うことで、譲渡金額を高くできる可能性があります。交渉の結果より高い値段をつけてくれた相手を、買い手として選ぶことができます。

オークション形式を取るため、譲渡価格が上昇するケースもあるでしょう。

ただし、複数の買い手と交渉する場合、それだけ情報漏洩などのリスクが高まる点に注意が必要です。

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自社の業績を高めておく

M&Aの際に譲渡金額を高くするために、自社の業績を高めておくことが必要でしょう。会社の業績は譲渡金額に影響する要素であるためです。

業績を上げるために検討できる手段の例を挙げます。

  • コア事業に資源を集中させる
  • マーケティングに力を入れる
  • 事業の効率化を図る など

自社への理解を深めアピールポイントを探っておく

自社のアピールポイントを把握しておくことで、M&Aの譲渡価格を挙げられる可能性があります。交渉の際に、自社の強みを買い手側に伝えることができれば、高評価に繋がることを期待できるためです。

例えば、優秀な人材が在籍している点などの、外部からは分かりにくい自社の強みをアピールポイントとして挙げることができます。

また、アピールポイントとして具体的な資料や数値を提示できれば、より信頼性の高い情報として効果を発揮するでしょう。

自社の強みについて知りたい場合、多数の企業を見てきたM&A仲介業者に相談してみるという手段を取ることも可能です。

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M&Aにおける手数料の金額目安

以下では、M&A業者を利用した際の手数料の目安を紹介します。例として、M&A仲介業者の大手3社を挙げます。

手数料 MAセンター MA総研 MAキャピタルパートナーズ
相談料 無料 無料 無料
着手金 あり 無料 無料
中間報酬 記載なし 無料 あり
成功報酬 移動総資産ベースレーマン方式 譲渡価格ベースレーマン方式 株価レーマン方式
最低報酬額 記載なし 記載なし 2,500万円(税別)
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M&Aの金額の目安に関するよくある質問

m&aの譲渡金額の交渉はどのタイミングで行う?

M&Aの譲渡金額に関する交渉は、一般的には基本合意の段階で行います。

しかし、最終的な価格の決定は、最終契約締結時に行われるため、価格の調整は可能です。ただし、譲渡価格の調整が可能かどうかは買い手との交渉次第となるため注意が必要です。

m&aの譲渡金額の目安を知りたい場合はどこに相談すれば良い?

M&Aの譲渡価格の目安を知りたい場合、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。M&A仲介会社は、見積もりを行い、譲渡価格を教えてくれます。

しかし、仲介会社によって見積価格が異なる場合があるため、複数の仲介会社に見積もりを依頼することをおすすめします。

見積もりを複数の仲介会社に依頼したい場合、一括見積もりサイトを利用するのが便利です。見積もりに必要な情報を入力する手間を減らすことが可能です。

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この記事の監修者
この記事の監修者
山本正樹
M&Aアドバイザー
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プロフィール
新卒で日本M&Aセンターに入社。そこから同業のベンチャーに転職して業界に4年間在籍。譲渡企業側の相談を多数経験。業種は拘らずに金融機関や士業等からの紹介が中心。
監修者の身元
専門ジャンル
M&A
この記事を書いた人
この記事を書いた人
「M&A相談窓口」ライティング部門