- 会社売却が儲かるというのは、売却の価格が数千万~数億円となる可能性があるため
- しかし売却額はそれぞれの会社や社会情勢によりさまざま
- 売却額の算出はM&A仲介会社により異なるため、自社に高い価格をつけてくれる仲介会社を選ぶと良い
M&Aの仲介業者は多く存在していますが、会社によって得意分野が異なる場合があります。
また、依頼する会社によって売却額が大きく変動することもあるため、複数の会社に見積もりを貰うのがおすすめです。
会社売却は儲かる?概要と本当に金持ちになれるのかを解説
会社売却により儲かる可能性はあります。事例によっては、会社の売却額が10億円以上になるようなケースもあります。
以下では、会社売却とは何か、そして儲かる場合があるといえるのは何故かを解説します。
そもそも会社売却とは
会社売却とは、会社や事業などを他人や他社に売ることです。
近年注目度の上がっているM&Aという言葉は、日本語では「合併と買収」という意味であるため、会社売却と近い意味を持ちます。
会社売却の際に用いられる手法(スキーム)として、メジャーなものは以下の2つです。
スキーム | 特徴 |
---|---|
株式譲渡 | 経営者の保有する株式を売ることで、会社の経営権を渡す手法 |
事業譲渡 | 会社の事業の一部もしくは全部を他の会社に譲渡する手法 |
また上記以外に、合併や会社分割などの手法が用いられる場合もあります。
【結論】会社売却は儲かる?
会社売却によって儲かるケースはあります。例えば、売り上げの立っている会社であれば莫大な金額で売ることができる可能性があります。
しかし、会社が売れるかどうかや、売ることによって儲かるかどうかは、それぞれの会社の状況により異なります。実際に「現状の利益の何倍で売れるか」は業種や交渉先などによって大きく変わってきます。
買い手企業との相性や交渉によっては、あまり儲からなかったという事態もあり得る点に注意が必要です。
そのため、M&Aで儲かるか判断したい場合は、事業売却の相場も事前に把握していくことがおすすめです。
とても広い定義で言えば、IPO・上場することで株式を売却することも会社売却に含まれます。その点で言うと、上場することで得られる金額が一番高いでしょう。
会社・企業売却が儲かると言われる理由
会社・企業売却が儲かると言われる理由として、会社の売却金額が大きな額となる場合が多いことが挙げられます。
目安として、資産額に数年分の営業利益額を足したものが会社の売却額となる場合があると言われています。そのため中小企業であっても、売却金額は数千万〜数億円に達する可能性があり、その場合には儲かったと言えるでしょう。
しかし、会社の売却金額は会社の業界や経営状況など様々な要素によって異なるため、上記金額に達しないケースも多々あることに注意が必要です。
会社の規模別や経営状況によって、会社の売却額は多く変動します。まずはM&Aの会社から企業価値診断を受けることをお勧めします。
会社売却額の相場と価値算定方法について解説!
以下では、会社売却額の相場や金額の算定方法について解説します。
会社売却の相場
会社売却額の相場は、会社の規模や売却の手法により大きく異なります。また、平均額を出すための統計データが確認できないため、相場を断定することはできません。
同じ会社であっても、買い手によって、また仲介する業者によって見積もりの売却価格が異なる場合があります。それは、売却額の算出方法が複数種類あるため、用いる方法によって結果が異なるためです。
また、希少価値や将来性といった客観的事実以外の部分が加味される場合もあり、算定する人によっても結果が異なる可能性があります。
少しでも会社を高く売って儲けたいと考えている場合、相見積もりをとって高く買ってくれる相手を探すことをおすすめします。
会社の売却額の算出方法
以下では、会社M&Aの売却価格の計算方法の幾つかを紹介します。
価格算出の際の評価基準を確認しておくことで、会社を高く売るためにどんなことに注意すれば良いか知ることができます。
時価純資産法(コストアプローチ)
会社の売却価格の算出方法として、時価純資産法が用いられることがあります。会社の持つ資産と負債を算出時点の時価に換算し、資産額から負債額を引いた純資産額を会社の売却価格とする手法です。
明快な計算で金額が算出されるため、買い手側売り手側双方にとって公平な価格となりやすい手法です。
しかし、将来性といった要素を考慮しない点が売り手側にとってデメリットとなる可能性があります。
時価純資産法では、時価純資産に営業権(営業利益の1~3年分)が加えられる額で算出します。
類似会社比較法
類似会社比較法と呼ばれる、会社の売却価格の算定方法があります。
売却される会社と近い状況にある上場企業を選び、その企業の株価を元に、評価対象の会社の株式価格を導き出す方法です。全く同じ状況の企業は存在しないため、多くの場合複数の上場企業が比較対象として選ばれ、その平均値を基準とする場合が多いです。
上場企業の株式という客観的事実に基づいた計算がなされるため、納得感のある結果が出やすいというメリットがあります。しかし、独自の技術などの唯一性を持つ会社の評価には向かないというデメリットがあります。
DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法
会社の売却価格を算定する際に、DCF法という方法が用いられる場合があります。
DCF法は、ディスカウントキャッシュフロー法の略称です。DCF法について簡潔に説明すると、その会社が将来得ることのできる利益額を元に、リスクなどを計算に入れた上で企業価値を算定する方法です。実際には多くの要素を考慮しつつ、複雑な計算が行われます。
DCF法は、その会社の将来性を考慮に入れた企業価値算出が可能であるというメリットを持ちます。例えば、成長の見込まれる分野のベンチャー企業などにとって、有利に働く可能性が高い企業価値算出法です。
将来性などといった不確定要素を考慮に入れるため、主観性が高くなってしまい、計算を行う人によって結果にばらつきが出てしまうというデメリットを持ちます。
一般的にDCF法は上場株式でもない限り使うことはほとんどないので、上場を目指さない限り使わなくていいでしょう。
会社売却でかかる税金まとめ
会社売却した際には税金がかかるため、売却額をそのまま利益として手に入れることはできません。
会社売却の際にかかる税金の種類は、会社の形態や売却時に用いるスキームによって異なります。
税金は得た利益が大きいほど高額になるため、事前に大まかな額を把握しておく必要があります。そこで以下では、それぞれの状況においてかかる税金について解説していきます。
事業譲渡でかかる税金
事業譲渡を行った際には、法人税がかかります。
また、買い手側には消費税が課されます。しかし消費税の納付は売り手側が行うことになるため、注意が必要です。
法人税は、事業売却時の損益とその年の他の所得を合算した額に対して課されます。売却額から譲渡した資産額や仲介手数料などの経費を引いた額が、事業売却の損益額となります。法人税の実効税率は約30%ですが、所在地や会社の規模により少し異なります。
株式譲渡にかからず事業譲渡にかかるものとして消費税は、意外かもしれません。普段は消費税をたかが10%と感じるかもしれませんが、規模の大きな話で10%はかなりの額ですので忘れないようにしましょう
株式譲渡でかかる税金
株式譲渡でかかる税金は、譲渡したのが個人株主か法人株主かによって異なります。以下では、それぞれのケースにおいてかかる税金について解説します。
個人株主の場合
株式譲渡を行ったのが個人株主の場合、かかる税金は主に所得税と住民税です。
税金は、譲渡所得に対して課されます。譲渡所得とは、株式の売却額から株式の所得費用や各手数料などを引いた額のことです。
株式の譲渡所得に対する所得税の税率は15%、住民税の税率は5%です。加えて、復興特別所得税として0.315%が加算されるため、合計20.315%が株式の譲渡所得額に対して課されます。
法人株主の場合
株式譲渡を行ったのが法人株主の場合、法人税がかかります。
法人税は、株式譲渡益とその他の損益を合わせたその年の法人の利益に対して課されます。その際の税率は、利益額によって異なりますが、約30~40%となっています。
株式の売却の際には、消費税はかかりません。
会社の売却額に影響するポイント
不動産
会社の所有する不動産は、会社の売却額に対する影響が大きいと言えます。
不動産とは土地や建物などを指すため、例えば会社の保有する工場などが含まれます。所有している不動産を会社売却の際に併せて売却することにした場合には、その不動産の時価額が売却額に加算されることになります。
雇用する従業員
従業員が会社の売却額に影響する場合があります。
技術や知識、経験をもった従業員が人材として評価され、会社の売却額が上がることがあり得ます。
例えば製造業の会社であれば、経験のある職人が人材として評価されるでしょう。また人手の不足しがちな地方であれば、従業員を大勢引き継げること自体がメリットとして評価されることもあり得ます。
注意点として、従業員の退職金を買い手に引き継ぐ契約になった場合、その額が負債として会社の売却額から引かれる可能性があることを知っておく必要があります。
顧客
顧客を引き継ぐことができれば、会社の売却額が上がることを期待できます。加えて、仕入れ先など取引先も会社の評価に繋がります。
顧客が多く、安定している場合、とりわけ評価は上がりやすい場合が多いでしょう。
会社を新規に立ち上げる場合、顧客獲得が課題となる場合が多いです。そのため、会社購入の目的が顧客の安定した獲得であるケースが多くあります。
顧客は会社の売却額に大きく影響を与える要素であると言えます。
その他数値化しにくい要素
数値化しにくい要素が会社の売却額に影響を与える場合もあります。ノウハウ・技術・ビジョンなどが例として挙げられます。
唯一性の高い技術やノウハウは企業価値を大きく高める可能性があります。
また、会社の持つビジョンや将来性も会社の評価を上げる要素です。逆に将来性が低いと判断された場合、売却額が下がってしまう可能性も考えられます。
それらの要素は数値化しにくい部分であるため、評価が人によって異なる点に注意が必要です。第三者に客観的に企業価値評価を依頼することによってトラブルを避けられる可能性があります。
会社売却で儲かった・高額売却になった事例
売却額が5億円前後になった事例
以下では、会社の売却額が5億円前後になった事例をいくつか紹介していきます。
譲渡企業 | オーテ | ハイウェル | Dugong |
---|---|---|---|
業界 | IT | IT | IT |
譲受企業 | アイモバイル | Kaizen Platform | ブランジスタ |
売却価格 | 5億円 | 4.9億円 | 5.3億円 |
売却額が10億円前後になった事例
以下では、会社の売却額が10億円前後になった事例をいくつか紹介していきます。
譲渡企業 | レフトキャピタル | 株式会社H2 | Candle |
---|---|---|---|
業界 | IT | インターネットサービス | Webメディア |
譲受企業 | ビーネックスグループ | 株式会社アプリックス | クルーズ |
売却価格 | 13.35億円 | 約11億円 | 12.5億円 |
売却額が100億円前後になった事例
以下では、会社の売却額が100億円前後になった事例をいくつか紹介していきます。
譲渡企業 | 東芝ロジスティクス株式会社 | Carbone Savoie社 | エンブレース株式会社 |
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業界 | 物流 | メーカー | ヘルスケア |
譲受企業 | SBSホールディングス株式会社 | 東海カーボン株式会社 | 株式会社スズケン |
売却価格 | 199億円 | 197億円 | 154億円 |
会社売却に関するよくある質問
会社売却の際の会計処理は?
会社を売却した際の会計処理は大まかに以下のようになります。
借方に、売却価格を入れます。
貸方には、譲渡した不動産やその他資産、事業譲渡益などの要素を勘定し入れます。有形資産以外の営業権は、その額分が事業譲渡益に加算されます。
上記はあくまで簡単な例となります。詳しいことは税理士や会計士などの専門家に相談すると良いでしょう。
会社売却をした際従業員はどうなる?
株式譲渡によって会社売却した際には、基本的に雇用契約も引き継がれます。
事業譲渡の場合、雇用契約は個別に決定され、引き継ぐ場合には再契約となります。
もし従業員の雇用継続を希望している場合、その旨を売却の条件に含めることができる可能性があります。そのため、交渉の早い段階で希望を伝えることをおすすめします。
高く会社を売却するコツは?
会社を高く売るコツとして、会社を高く評価してくれる会社に買ってもらうことが挙げられます。
例えば関連事業を行う会社であれば、生まれる相乗効果を期待して評価額を高くしてくれる可能性があります。
そのため、買い手をできるだけ広い範囲から探すことが必要です。M&A仲介会社やM&Aマッチングサイトの利用によって、大きなネットワークからマッチングを行うことが可能です。